MGD77SNIFFER

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説明
必要条件
オプション
MGD77 フィールド情報
グリッドファイル情報
E77 エラーフォーマット

関連事項
文献

名前

mgd77sniffer − MGD77 データのエラーを走査する

書式

mgd77sniffer NGDC-ids [ −Afieldabbrev,scale,offset ] [ −Cmaxspd ] [ −Dd|e|f|l|m|s|v ] [ −gfieldabbrev,imggrid,scale,mode ] [ −Gfieldabbrev,grid ] [ −H[i][nrec] ] [ −Ifieldabbrev,rec1,recN ] [ −N ] [ −Lcustom limits file ] [ −Q[value] [ −Rwest/east/south/north[r] ] [ −Sd|s|t ] [ −Tgap ] [ −V ] [ −Wc|g|o|s|t|v|x ] [ −bo[s|S|d|D][ncol] ]

説明

mgd77sniffer は 1 点 1 点の正常性検査、航跡に沿った過大な傾きの検出、及 び航海データと全球的な重力及び予測水深グリッドとの随意の比較を使って 古 い( 2000 年以前の)フォーマットと新しいフォーマットの MGD77 ファイルを走 査してエラーを見つける。検出されたデータ上の問題はデフォルトでそれぞ れ の 検出されたエラーについての冗長な説明として、しばしば走査されたレコー ドごとに複数のメッセージとして出力される。データ上の問題は随意でコン ピ ュータが扱いやすいフォーマットを使って( −De オプション)出力させることが できる (下の E77 エラーフォーマットの説明を参照)。デフォルトのエラー 閾 値 は 1952 年から 2006 年 1 月までに集められた全ての MGD77 の地球物理学 的データのヒストグラムから作られている。閾値は −L オプションを使って 調 整することができる。

NGDC-ids

は 5 種類の指定子のうちの 1 つ以上になりうる。
1) 8 文字の NGDC ID 、例えば 01010083, JA010010 等。
2) 2 文字の <agency> コード。各機関から全ての航海を返す。
3) 4 文字の <agency><vessel> コード。その船舶から全ての航海を返 す。
4) =<list>, ここで <list> は NGDC ID を行ごとに 1 つずつ持っ た テーブル。
5) 何も指定されなければデータベースの全ての航海を返す。
( 機 関 及 び 船舶コードについては mgd77info −F を参照)。拡張子 ".mgd77" 又は ".nc" は必要ならば自動的に付加される (特定のフ ァ イル形式を無視するには −I を使うこと)。航海ファイルは最初にカレ ントディレクトリから探され次に $MGD77_HOME/mgd77_paths.txt に挙 げられた全てのディレクトリから探される [ $MGD77_HOME が設定され ていなければデフォルトで $GMTHOME/share/mgd77 になる]。
Windows では現在 (1) と (4) しかサポートされていないので注意。

必要条件

mgd77sniffer は Generic Mapping Tools 4.0 以降及びサプリメンタル GMT パ ッ ケ ー ジ の x2sys 及び mgd77 とリンクしている。 GMT の詳細については http://gmt.soest.hawaii.edu を参照すること。航海データと比較するため の グ リッドはウェブからダウンロードすることができる。多くの有用なグリッド の中でも、 NOAA の ETOPO2 全球地形グリッドは National Geophysical Data Center のウェブサイトから、サンドウェルとスミスの Raw Gravity グリッド はスクリップス海洋研究所のウェブサイトから利用できる。

オプション

−A

指定されたデータ列にスケール因子及び DC 調整を適用する。 航 跡 に沿った解析の前に航海データを調整することができる。注意: こ れらの全球的なデータ調整を適用する前にデータを徹底的に検証す る こと。複数の航海に対しては使わないほうが良い。

−C

最大の船速を m/s 単位又は −N オプションによりノット単位で設 定する。デフォルトでは 10 m/s (約 20 ノット)を超える船速は過 大 としてフラグされる。

−D

デフォルトの警告出力を抑止して値、勾配、グリッドと航海の差 、各レコードに対する E77 形式のエラーの要約、再作成された MGD77 レコード又は検出限界といった航海データのみを行ごとに出力する。

−Dd は航海とグリッドデータの差を出力する。 −G オプションを必要 とする。出力される列は以下の通り。

lat lon dist cruiseZ gridZ diff [cruiseZ2 gridZ2 diff2 ...]

注意: グリッド値が航海データから差し引かれるので正の差は航海 > グ リッドであることを意味する。複数のグリッドとの比較については 、コマンドラインの順に cruiseZ gridZ diff が各グリッドとの比 較 に対して繰り返される。

−De は E77 エラー分類フォーマットで出力する。エラー出力は (1) 全球的に航海に適用できるヘッダ内の情報と (2) 各航海レコードで生 じ た 全 て の エ ラ ーを要約した個々のエラー記録に分けられる。 mgd77sniffer は E77 を直接 <ngdc_id.e77> ファイルハンドルに書き 出す。更に詳しいことは下の E77 エラーフォーマットを参照すること 。

−Df は各地球物理学的データに対してデルタ Z (地球物理学的デー タ の 変化)の列とデルタ S (距離の変化)を出力する。観測点の間の距離 は観測機器のサンプリングレートに依存し、しばしばデータによっ て 異 なることがあるので、 ds は各地球物理学的データに対して含まれ る。出力される列は以下の通り。

d[twt] ds d[depth] ds d[mtf1] ds d[mtf2] ds d[mag] ds d[diur] ds d[msd] ds d[gobs] ds d[eot] ds d[faa] ds

−Dl は mgd77sniffer の限界を表示する。 −L オプションのカスタム 限界ファイルを作成してこの出力をカスタマイズすることができる 。 追加の引き数は必要ない。出力される列は以下の通り。

fieldabbrev min max maxSlope maxArea

−Dm は 2000 年問題対応の MGD77 フォーマットで MGD77 フォーマッ ト行を出力する。

−Ds は速度と地球物理学的データの勾配を計算して出力する。傾き は −S オプションで選択された傾きのタイプに対応する(デフォルトでは 空間微分)。出力される列は以下の通り。

speed d[twt] d[depth] d[mtf1] d[mtf2] d[mag] d[diur] d[msd] d[gobs] d[eot] d[faa]

フィールド及び省略形の説明については下の MGD77 フィールド情報を 参照すること。

−Dv は各 MGD77 データレコードに対する 12 列の位置及び地球物理学 的データの値を(この順で)表示する。

lat lon twt depth mtf1 mtf2 mag diur msens gobs eot faa

下の MGD77 フィールド情報を参照すること。

−g

航海データとサンドウェル/スミスのメルカトルフォーマットの指 定されたグリッドを比較する。コンマ区切りで、有効な MGD77 フィー ルドの省略形(下の MGD77 フィールド情報を参照)、 (カレントディレ クトリでなければ)パス及びグリッドファイル名、データに掛けるスケ ール( 1 又は 0.1 )、及び以下のモードを付ける必要がある。 (0) 全 ての点のデータを返す、拘束コードを含まない Img ファイル 、 (1) 全 ての点のデータを返す、拘束コードを含む Img ファイル、 (2) 拘 束された点ではデータ、他の点では NaN を返す、拘束コードを 含 む Img ファイル、 (3) 拘束された点では 1 、他の点では 0 を返す、拘 束コードを含む Img ファイル。

−G

航海データと指定されたグリッドを比較する。コンマ区切りで 、 有 効 な MGD77 フィールドの省略形(下の MGD77 フィールド情報を参 照)、 (カレントディレクトリでなければ)パス及びグリッドファイ ル 名 付ける必要がある。複数のグリッドとの比較は各グリッドに対して 別々の −g 又は −G コールを使うことによりサポートされている。 下 のグリッドファイル情報を参照すること。

グリッド比較により幾つかの追加のエラー検査が行われる。 (1) 船と グリッドデータから重み付き最小自乗回帰により傾きと DC シフト が 決 定され、それらがそれぞれ予想された 1 及び 0 と異なる場合は、 間違った重力との結び付きや間違った単位あるいは観測機器のドリ フ ト により、船のデータが正しくスケールされていない可能性を示して いる。 (2) 累積した船とグリッドのオフセットが航跡に沿って計算さ れ過大なオフセットは閾値 maxArea によってフラグされる ( maxArea を調整するには −L オプションを使うこと)。警告: 予想水深グリッド は 航海データにより拘束されるのでグリッドと航海データは常に独立 であるとは限らない。航海水深を予想水深グリッドと比較すること に より「陸地を横切る航路」の検査も行われる。

−H

( −G|g とともにのみ用いて)重み付き最小自乗回帰におけるデー タ間引きを行わない。

−I

フィールドの省略形及び悪いデータとしてフラグする行の範囲 の 最 初と最後の行を付けること (すると解析の前に NaN に設定される) 。必要なだけ繰り返すこと。複数の航海に対しては使わないほうが 良 い。

−L

mgd77sniffer のデフォルトのエラー検出限界を変更する。カスタ ム限界ファイルのパス及びファイル名を与えること。有効な MGD77 フ ィ ールドの省略形で始まっていない行は無視される。フィールドの省 略形については以下の MGD77 フィールド情報に正しい形の一覧がある 。複数のフィールドの限界は 1 行に 1 つのフィールドのある 1 つの デフォルトファイルを用いて変更することができる。各フィールド に 対 して最小、最大、最大の傾き、最大面積を変更することができる。 最大の傾きは −S オプションを使って選択された勾配タイプに関係 が あ る。最大面積は指定されたグリッドからの過大なオフセットをフラ グするための閾値として −G オプションにより使われる。構文を見 た り 編集可能なカスタム限界ファイルを手早く作成するにはデフォルト −Dl をダンプすること。

カスタムデフォルトファイルの内容の例(単位については下を参照)
# abbrev min max maxSlope maxArea
twt 0 15 1 0
depth 0 11000 500 5000
mag -800 800 - -
faa -300 300 100 2500

デフォルトの限界を保持するにはダッシュ ’-’ を使うこと。ヒン ト: カ ス タ ム 限 界 を テ ス ト す る に は 、 mgd77sniffer −Dl −L<yourlimitsfile> を試すこと。

−N

海里を使う。

−Q

高速モード。 3 次補間法[デフォルト]の代わりに 1 次補間法 で 内 挿する。オプションで、 0 <= value <= 1 の範囲の value を付け ることができる。このパラメータは NaN 値の格子へどれだけ内挿範囲 を近づけるかを制御する。例えば、 value が 0.5 ならば NaN でない 格子から NaN の格子までの 1/2 までは内挿される。あるいは、 0.1 な らばその約 90% まで、などとなる [デフォルトは 1 で、これは近 接する 4 つの格子のいずれも NaN にはならないことを意味す る] 。 value が 0 ならば内挿しないで最も近い格子の値を返すだけである。

−R

west, east, south, 及び north は対象とする領域を指定する 。 小数値を含む度又は [+-]dd:mm[:ss.xxx][W|E|S|N] のフォーマットで 指定できる。東西南北の代わりに地図座標の左下と右上を使うとき は r を 付 けること。 2 つの略号 −Rg −Rd は全球領域(それぞれ経度 0/360 又は -180/+180 と緯度 -90/+90 )を表す。

−S

航跡に沿った過大勾配を検査するための傾きのタイプを指定す る 。

−Sd は航跡に沿った値 z の変化を計算する( dz )。出力は地球物理学 的単位(例えば mGal )で与えられる。
−Ss
は空間勾配を計算する( dz/ds )。出力は調査航跡に沿った km 当 たりの地球物理学的単位(例えば mGal/km )で与えられる。
−St
は時間勾配を計算する( dz/dt )[デフォルト]。出力は調査航跡に 沿った秒当たりの地球物理学的単位(例えば mGal/sec )で与えられ る 。

−T

mgd77sniffer における隙間の扱いを調整する。デフォルトでは、 5 km よりも長いデータの隙間は飛ばされる。隙間を飛ばさないように するにはゼロに設定すること。

−W

冗長エラーメッセージに対してある警告タイプだけを出力する。 c|g|o|s|t|v|x の任意の組合せをコンマで区切ること。ここで( c )は コードに関する警告、( g )は範囲外の勾配、 ( o )はグリッドからの オフセット( −G|g が必要、 ( s )は範囲外の速度、( t )は時刻に 関 す る警告、 ( v)は範囲外の値、( x )は要約の警告である。デフォル トでは全ての警告メッセージが出力される。 −D オプションと一緒 に 使うことはできない。

−V

冗長モードで実行する。

−b

−Dd|f|s|v オプションに対してバイナリデータを出力する。単精 度にするには s を、倍精度にするには d を付けること[デフォルトは 倍精度]。

MGD77 フィールド情報

フィールド 省略形 単位
往復走時 twt sec
補正水深 depth m
全磁力 1 mtf1 nT
全磁力 2 mtf2 nT
地磁気残差 mag nT
日変化補正 diur nT
磁気センサー深度/高度 msens m
観測重力 gobs mGal
エトベス補正 eot mGal
フリーエア異常 faa mGal

グリッドファイル情報

−g に対するグリッドはヘッダの無い球体メルカトル 2 バイトグリッドのサン ドウェルとスミスにより使われるフォーマットでなければならない。 −G に 対 するグリッドファイルは GMT によりサポートされるグリッドタイプのいずれか であるため GMT ヘッダを含まなければならない。正しくフォーマットさ れ た *.i2 グリッドファイルは以下に示すように grdraster を使って作成すること ができる。

gmtset GRIDFILE_SHORTHAND TRUE

# GMT I/O shorthand file
# suffix format_id scale offset NaN
grd 0 - - -
i2 2 - - 32767

grdraster 1 -R0/359:55/-90/90 -Getopo5_hdr.i2

新しいグリッド(この例では etopo5_hdr.i2 )には GMT ヘッダが含まれてお り −G オプションを使って航海の水深とグリッド値を比較することができる。

E77 エラーフォーマット

ヘッダ

NGDC 及び調査機関の識別コード、航海調査期間、往復走時補 正情報、データ精度に関する警告や、全球的なグリッドとの比較に よ る系統的なスケール、 DC シフト及び補正係数が E77 ヘッダ情報とし て報告される。

サンプル
# Cruise 06050010 ID L476WG MGD77 FILE VERSION: 19870415 N_RECS: 27268
# Examined: Tue Feb 21 16:33:34 2006
# Examiner: mtchandl
# Arguments: -De -Gfaa,/data/GRIDS/sandwell_smith11_hdr.i2
# Errata: Header
N-faa-E-01: Regression against grid gave scale 0.108643 which is statistically different from 1.0. Recommended scale: (10.0)
N-faa-E-02: Regression against grid gave DC offset -1.319411 which is statistically different from 0.0
I-twt-W-03: More recent bathymetry correction table available
I-depth-W-04: Integer precision in depth

エラーレコード

個 々のエラーレコードは厳密なフォーマットを持つ。時刻又は距離、 レコード番号、フォーマット化されたエラーコード文字列、レコー ド 中で検出されたエラーの冗長な説明が含まれる。 4 種類のエラークラ スは異なるエラータイプを表すアルファベットの文字からなるエラ ー コ ード文字列にエンコードされる。エラーコードフォーマットの説明 については以下を参照すること。

フォーマット
<時刻/距離> <レコード番号> <エラーコード文字列> <説明>

サンプル
# Errata: Data
1971-04-28T18:27:30 345 0-0-OQ-0 gradient: mtf1, mag excessive
1971-05-14T18:01:30 5413 0-0-OQ-0 gradient: mtf1, mag excessive
1971-05-15T03:41:30 5634 0-Q-0-0 value: mag invalid

エラーコードの説明

4 種類のエラークラスはダッシュ ’-’ により区切られアルファベット 文字又は問題が検出されなかったことを示す 0 の組合せで記述される 。

エラークラス: NAV-VAL-GRAD-GRID

エラークラスの説明
NAV (航路):
0 - 良
A - 範囲外時刻
B - 時間減少
C - 過大速度
D - 水面上
E - 緯度不定
F - 経度不定

VAL (値):
0 - 良
K - twt 無効
L - depth 無効
O - mtf1 無効

GRAD (勾配):
0 - 良
K - d[twt] 過大
L - d[depth] 過大
O - d[mtf1] 過大

GRID (グリッド比較):
0 - 良
L - depth オフセット
W - faa オフセット

NAV エラークラスは一意的な文字を持っているが VAL, GRAD 及 び GRID クラスは MGD77 フォーマットの順番で 24 列の数値フィールド のそれぞれに対してアルファベット文字で記述される。

MGD77 のビットパターンと E77 のアルファベット文字
|-------------------------------------------------|----------|
| X W V U T S R Q P O N M L K J I H G F E D C B A | E77 Code |
| - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - | - - - - -|
| n f e g m d m m m m b b d t p l l m h d m y t d | F I |
| q a o o s i s a t t t c e w t o a i o a o e z r | i D |
| c a t b d u e g f f c c p t c n t n u y n a t | e |
| s r n 2 1 t r t r | l |
| s h h | d |
| - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - | - - - - -|
| 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 | Bit place|
| - G C G C C - G G G - - G G - - - T T T T T - - | Bit type |
|-------------------------------------------------|----------|
ビットタイプ: (G) 地球物理学的データ, (C) 補正, (T) 時刻

過大な値又は勾配を走査する。

mgd77sniffer 08010001

航海の勾配をダンプする。

mgd77sniffer 08010001 -Ds

航海の水深を ETOPO5 の水深と、重力をサンドウェル/スミスの 2 分メッシ ュ 重力(バージョン 11 )と比較する。

mgd77sniffer 08010001 −Gdepth,/data/GRIDS/etopo5_hdr.i2 −gfaa,/data/GRIDS/grav.11.2.img,0.1,1

関連事項

mgd77list(l), mgd77track(l) x2sys_init(l)

文献

The Marine Geophysical Data Exchange Format - "MGD77", http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/dat/geodas/docs/mgd77.txt 参照

Wessel, P., and W. H. F. Smith, 2006, The Generic Mapping Tools (GMT) version 4.1.1 Technical Reference & Cookbook, SOEST/NOAA.