名前

       trend1d - [重み付き][ロバストな]多項式[またはフーリエ]モデル
 y = f(x) を xy[w] データにフィットさせます。


概要

       trend1d -F<xymrw> -N[f]n_model[r] [ xy[w]file ] [ -Ccondi-
       tion_# ] [ -H[nrec] ] [ -I[confidence_level] ] [ -V ] [ -W
       ] [ -: ] [ -bi[s][n] ] [ -bo[s][n] ]


記述

       trend1d は x,y [および w ]の値を標準入力[または xy[w]file ]
の最初の2[3]列から読んで、[重み付き]最小自乗法により回帰モ
デル y = f(x) + e にフィットさせます。 f(x) の関数形は多項
式またはフーリエから選ぶことができ、当てはめはデータの重み
付けを繰り返すことによるロバストな方法で行うこともできます。
ユーザは y の分散を減らすのに重要な f(x) の項の数を調べるこ
ともできます。


必要な引数

       -F     任意の順序で文字をセット{x y m r w}から最大5つまで指
定し、 ASCII [またはバイナリ]出力の列を作ります。 x
 = x, y = y, m = モデル f(x), r = 残差 y - m, w = フィ
ッティングに用いる重み。


-N モデルの項の数 n_model と、フーリエ (-Nf) と多項式[デ
フォルト]モデルのどちらに当てはめるかを指定します。 r
 を付けるとロバストフィットを実行します。例、ロバストな
2次元モデルは -N3r です。


オプション

       xy[w]file
x,y [w] の値を最初の2[3]列に含む ASCII [またはバイナ
リ、 -b 参照]ファイル。ファイルを指定しないときは、
trend1d は標準入力を読みます。

-C 行列の解に対する最大許容状態数を設定します。 trend1d
ではダンプ付き最小自乗モデルへの当てはめを行いますが、
最大固有値の最小固有値に対する比が condition_# であ
る固有スペクトルの部分のみ保持します[デフォルト:
 condition_# = 1.0e06 ]。

-H 入力ファイルにヘッダレコードがあります。ヘッダレコ
ードの数は .gmtdefaults ファイルを編集することによ
り変更できます。このオプションが使われた場合、 GMT
のデフォルトではヘッダレコードは1行です。

-I モデルパラメータの数を、1から始めて、 n_model に達す
るかモデルの分散の減少が confidence_level のレベルに
おいて重要でなくなるまで繰り返し増加させます。数字を
付けずに、 -I だけ設定することもできます; この場合は
当てはめはデフォルトの信頼レベル0.51で繰り返されます。
あるいは独自のレベルを0と1の間で設定することもできま
す。注意のセクションを参照。

-V 冗長モードを選択します。標準エラー出力に経過報告を
送ります[デフォルトでは"静かに"走ります]。

-W 重みを入力の3列目に与えます。重み付き最小自乗フィッ
トを実行します[または繰り返しロバストフィットを実行
するときにこの重みから始めます][デフォルトでは最初の
2列しか読みません]。

-: 入出力の(経度,緯度)と(緯度,経度)を入れ替えます。[デ
フォルトは(経度,緯度)です]。地理座標のみに適用されま
す。

-bi バイナリ入力を選択します。単精度に対しては s を付け
加えます[デフォルトは倍精度です]。バイナリファイルの
列数に応じて n を付け加えてください[デフォルトは2
( -W 設定時は3)です]。

-bo バイナリ出力を選択します。単精度に対しては s を付け
加えます[デフォルトは倍精度です]。


注意

       フーリエモデルを選んだとき、 x の領域は [-pi, pi] にシフト、
およびスケールされ、用いられる基底関数は 1, cos(x), sin(x),
 cos(2x), sin(2x), ... となります。多項式モデルを選んだとき、
 x の領域は [-1, 1] にシフト、およびスケールされ、用いられる
基底関数はチェビシェフの多項式となります。これらには、逆問
題を解かなければならないから行列の形であるという点において
数値的な利点があり、また正確な解答を可能にしています。 n 次
のチェビシェフの多項式には n+1 個の極値が [-1, 1] にあり、
それらはすべて -1 か +1 のどちらかの値になります。そのため
多項式モデルの係数の大きさは直接比較することができます。
メモ: モデル係数はチェビシェフの係数で、 a + bx + cxx + ...
 の係数ではありません。

-Nr (ロバスト)と -I (繰り返し)オプションではF検定によりモデ
ル誤差のχ自乗の改善の重要度を評価します。デフォルトの信頼
限界は0.51に設定されています; これは -I オプションで変更す
ることができます。ユーザは大部分の場合にモデルの項の数の増
加による分散の減少が非常に高い信頼度においては重要でないこ
とに驚くかもしれません。例えば、自由度120で、95%信頼レベル
において重要であるためにはχ自乗は26%以上減少しなければなり
ません。χ自乗が減少する限り繰り返しを継続したいときは、
confidence_level をゼロに設定します。

ロバストな方法がうまくいくためには(デフォルト値0.51のように)
信頼限界を低くすることが必要です。この方法は外れ値の影響を
選らすためにデータに繰り返し重みをかけていきます。この重み
はメディアン絶対偏差と Huber [1964] の公式に基づいており、
モデルの残差が外れ値の影響を受けない標準的分布を持つときに
は95%有効です。これは外れ値の影響が各繰り返しにおいてわずか
しか減少しないことを意味しています; その結果、χ自乗の減少
はあまり重要でないのです。うまくこの影響を減少させるために
この手順に少しの繰り返ししか必要でないなら、F検定の重要度レ
ベルは低くしておかなければなりません。

用例

       data.xy から通常の最小自乗法でリニアトレンドを除去します:

trend1d data.xy -Fxr -N2 > detrended_data.xy

上のリニアトレンドを外れ値に関してロバストにします:

trend1d data.xy -Fxr -N2r > detrended_data.xy

ロバストなフーリエ内挿において(たとえば20までで)いくつの項
が data.xy へのフィッティングに重要か調べます:

trend1d data.xy -Nf20r -I -V

関連事項

       gmt(l), grdtrend(l), trend2d(l)


参考文献

       Huber, P. J., 1964, Robust estimation of a location param-
eter, Ann. Math. Stat., 35, 73-101.

Menke, W., 1989, Geophysical Data Analysis: Discrete
Inverse Theory, Revised Edition, Academic Press, San
Diego.



1 May 2003 TREND1D(l)

Man(1) output converted with man2html